HANABI ボドゲレビュー - 協力して花火を打ち上げろ!
『HANABI』
作者:アントワーヌ・ボザ
人数:2〜5人(おすすめは4人以上)
所要時間:30分〜
サマリ:各色の花火を 1〜5 まで順に打ち上げるゲーム。自分の手札は見れず、他のプレイヤーの手札のみが見える。色か数字をヒントに出しながら相手に正確に花火を打ち上げてもらう。協力ゲームだが「このヒントなら何をするべきかわかるよね?汲み取ってね?」とプレッシャーを与えることもできる。(※心がきれいな人はそんなことしない)
さて、以下説明。
超ざっくりルール説明
- 協力型ゲーム
- ゲームの目的:5色ある花火を打ち上げる
- 各色1〜5まで数字が書いてあるので、1から順番に出していく
- 自分の手札は見えない(インディアン・ポーカースタイル)
- ヒントトークンを消費して、チームメイトにヒントを教えることができる
- ヒントは「色」か「数字」のみを伝えることができる
- カードを打ち上げたり捨てたり山札から補充して、手札は常に4枚をキープする
- 敗北条件:お手つき3回
構成としては、各色1が3枚、2〜4が2枚ずつ、5が1枚あるので、5以外だったら多少間違えても大丈夫だし、カードを捨ててヒントトークンを補充することができる。
ただし、上級者向けに虹色(きらきら)カードを追加することもでき、こちらは1〜5がすべて1枚ずつしかないので失敗は許されない。
いいところ1:ちゃんと協力型ゲームになってる
どういうことかというと、協力型ゲームと見せかけた殺し合いゲームがこの世には多数存在するんですよ。仮に作者にそういう意図がなくても、わたしみたいな人間はあえて波風を立てるわけなのだけど、『HANABI』はちゃんと協力型ゲームとして成り立っている。殺し合いをしようものなら全員負けるので、みんなで勝つ方法をまじめに考える必要がある。
しかしそれだけではつまらない。本ゲームは協力型プレイではあるが、たいへん煽り合いに適しているからおもしろいのだ。以下、わたしが友人たちと遊ぶ時によく飛び交う会話:
P1: 「ヒント出します。これとこれは赤です。」
P2: 「オッケー、これとこれが赤ね」
P1: 「わかるよね?次のターン、何をするべきか、わかるよね?」
P2: 「えっ……。」
P1: 「え?今のヒントでわからないの?ほら、よく考えてー?簡単だよね?(ニコッ」
そして意図したことと違うことをすると大バッシング。「なんでだよ!今のでなんでわからないんだよ!」楽しい。
(※本来であればもっと思いやりをもってプレイするべきゲームです)
いいところ2:ヒントの出し方にすごく頭を使う
このゲーム、ヒントの内容ももちろんだが、ヒントを出すタイミングもとても重要になってくる。「今このヒントを出したってことは…!つまり!!」と、チームメイトの意図をうまく読み取って行動をする必要がある。また、順番を考慮して、「次に手札をプレイする人にやることはあるか?」と考える必要がある。
ヒントがなくて「このターンやることがない」という状況に陥った場合、人によって行動が異なるのでめっちゃ面白い。
ケース1:
私「ヒントをもらってない、ということは!わたしの手札はゴミカードばかりだ!これを捨てるッッ!!」 赤5ポイー
全員「おい!赤5捨てたら取り返しつかないじゃん!どうしてくれるんだ!」
私「だってぇー みんながヒントくれないからぁー (゚σ_゚) ほじほじ」
(※5は1枚しかないので、一度捨ててしまったらもう赤色の花火は完成しなくなる)
ケース2:
友「ヒントをもらってないから捨てるの怖いなぁ」
全員「(お前の手札はゴミや…はよ捨てろ…捨てるんだ…)」
友「ちょっと捨てるの怖いのでヒント出しまーす」
全員「(このチキンが!!)」
どっちが良いとかはありません。どっちもありえるので(笑)
ただ、何ターンか見てるとその人のプレイスタイルがわかってくるのがなかなかおもしろい。「あの人はすぐ捨てる傾向にあるから先に教えておこう」とか、「あの人はギャンブルばっかりするから要注意」とか。なおわたしはすぐに捨てるタイプなので、周りが「早くあいつが捨てちまう前に教えるんだ!」ってざわつく。超おもしろい。
また、自分の手札は見えないので、教えられたヒントを覚える必要がある。「あれ、これなんだっけ?」と言い出そうものならチームメイトから「馬鹿!」の怒声が飛んでくるであろう。ヒントをメモるのはおもしろくないので、できれば己の記憶力を駆使して覚えてほしい。以下、実際にあったプレイ:
私「どれ覚えてる?」
友「えっと、これが赤で… これが4ってさっきヒントもらったはず!」
私「(逆だ!逆に覚えてるぞ!やばい!)」
みんなで頭を抱えるけど、もうおかしくておかしくて。「逆だよ逆www」と言うこともできず、その後、この友人は見事に間違ったほうのカードを出して爆死しました (-人-)ちーん
いいところ3:カウンティングで脳トレ
各数字が何枚あるのかカードの枚数が決まっているので、山札がなくなってくるとカウンティングができるようになる。見えているカードを数えて、手札にあるだろうカードを予測するスキルだ。
このカウンティング、早い人はすごく早い。カウンティングが遅い人に対して「マダァ?(・∀・ )っ/凵 チンチン」とやるのはいつもの流れ。(※本来であればもっと思いやりをry)
一回こんなことがあった:
友「カウンティング終わった!俺の手札はあと2枚なので、このどちらかが白の1のはずだ!どれだ… どれが正解なんだ!?」
全員「(え、両方白の1なんだけどwww)」
友人が真顔で言うもんだから、もうみんなで大笑い。いやいやどっちも正解だよ!と。カウンティングが甘いとみんなに笑われる…かもしれない。
いいところ4:自分の手札が見えないからハラハラする
「自分のカードが見えない」という状況はなかなか新鮮で、新しく手札を引いてきたときにみんながクスクス笑い出す時がある。「えっなんか変なの引いた!?」と焦るし自分の手札が気になって仕方がない。
友「これはゴミカードのはずだから捨てる!よし、赤1を捨てたぞ。山札から新しくドロー!」(赤1をまた引く)
全員「(無能だ!)プークスクスw」
一点注意なのだが、たとえば誰かがどれを出すべきか悩んでいる時に、仮に間違ったほうのカードに手をつけても、顔芸はなるべく控えよう。表情で判断できてしまったら、有益なヒントを出す重要性が薄れてしまうし、個人的にはこのゲームの醍醐味がなくなってしまうと思う。リアクションはできるだけカードがプレイされた後に行おう。
まとめ
ルールはシンプルなわりにかなり頭を使うゲームなので、ボードゲーム初心者はもちろん、パーフェクトスコアを狙うガチ勢も楽しめるゲームだと思う。また、仲の良い者同士で遊ぶと煽り合いができるのでなかなかおもしろい。
わたしが初心者に教えるときは「各色が何枚出ているのかを把握しておくこと」「大事なカードは早めにヒントを出してあげること」「だれにヒントを出すべきか優先順位を考えること」の3点を忘れないようにしてもらいます。
ヒントトークンがなくなってしまった時など、場合によっては勘にまかせてカードを打ち上げたり捨てたりする必要も出てくるのだが、ここで見事に正しいカードを出すとみんなで「おおお!!」って盛り上がれるし、逆に捨てちゃいけないカードを捨てたりすると「あああ…」って脱力する感じが一体感あって欲しい。
ぜひ仲間のみんなと綺麗な『花火』を打ち上げてください!